ブロックチェーン 相互不信が実現する新しいセキュリティ 著者: 岡嶋裕史

ブロックチェーン

岡嶋 裕史
中央大学大学院総合政策研究科博士後期課程終了。博士(総合政策)。富士総合研究所、関東学院大学准教授、同情報科学センター所長を経て、現在は中央大学国際情報学部教授、学部長補佐。専門は情報ネットワーク、情報セキュリティ。『セキュリティはなぜ破られるのか』『構造化するウェブ』『ジオン軍の失敗』(以上、講談社)ほか、NHKテキストや技術教本、ライトノベルなど、執筆活動は多岐にわたり、著書は170冊を超える。

ブロックチェーン
相互不信が実現する新しいセキュリティ


レビュー
「ブロックチェーン」は講談社の新書「ブルーバックス」の一冊です。ブルーバックスとは、難解な自然科学全般の話題を一般的な読者が興味を持つように解説するシリーズ。したがって本書も「ブロックチェーンって何?」という一般的な読者向けに書かれています。

ジャンル:テクノロジー・IT、サイエンス、トレンド
著者:岡嶋裕史
出版社:講談社
定価:1,000円 (税抜)
出版日:2019年01月20日

ブロックチェーンの特徴は次のとおりです。

1.分散型データベース

2.非中央集権型(集団の誰もが意思決定に参加し、多数決で決定されるモデル)

3.SPOF(そこが停止してしまうと、システム全体が障害となるような箇所Single Point of Faulure)が存在しない

ブロックチェーンの長所!

参加者の間に信頼が何も無いネットワークでも、信頼できる取引や決済の仕組みを構築

特定の管理者による書き込みや改ざんが困難。

ブロックチェーンの短所!

・中央集権型のシステムに比べて処理効率が低下
・データ容量が膨大
 (システムが稼働してからすべてのデータを記録し、削除しない仕組みのため)
・頻繁にシステムに変更を加えることが困難
・秘匿したいデータの管理に不向き

ブロックチェーンの短所!

・参加者それぞれが処理を担当するが、それに対する報酬の設計が困難
 (ビットコインの場合は通貨を報酬として利用できる)
・電力の消費やコストが膨大

本書の要点
要点1
ブロックチェーンは次の特徴をもつ革新的なデータ蓄積システムです。

管理者が不要!
・参加者すべてが敵というような油断のならない状況でも処理の透明性を確保
・データの変更や改ざんがほぼ不可能

要点2
ブロックチェーンは、仮想通貨を支える重要な技術です。
ブロックチェーンはビットコインをはじめとする仮想通貨を構成している基盤技術です。
仮想通貨は世界的には「暗号通貨」のちに「暗号資産」と呼ばれています。
しかしブロックチェーンは、暗号資産に限った技術ではありません。
そしてブロックチェーンに不可欠な技術が「ハッシュ」そして「公開鍵暗号」です。

要点3
ブロックチェーンは良い面ばかりではありません。
たとえば、管理者のいる中央集権型のシステムと比べると処理効率が悪いなど、課題もあります。
今後ブロックチェーンが社会に浸透するにあたっては、技術の革新部分をとらえ、変化に柔軟して対応していくことがとても重要です。

ハッシュ関数とは何か?
ブロックチェーンを理解するうえで知っておくべき技術が、「ハッシュ」と「公開鍵暗号」の2つです。

ハッシュとは「元のデータから特定のサイズの別のデータを、計算によって作ること」です。
計算に使う関数をハッシュ関数、計算によって求められた別のデータをハッシュ値といいます。

ハッシュ関数で計算した結果として得られるハッシュ値は、一定の長さ(特定のサイズ)の値になります。
たとえばMD5という関数の場合、得られる結果は128ビットと決まっています。
「a」の1文字を計算した場合も、太宰治の『人間失格』の冒頭368文字を計算した場合も、MD5で得られるハッシュ値は128ビットです。

インターネットの脅威に対抗する2つの技術

通常の暗号は、暗号化のアルゴリズムとキーがわかっていれば復元できます。しかしハッシュ関数で暗号化したものは、どうやっても元に戻すことはできません。128ビットの情報から、もとの「a」に戻すことはできないハッシュ関数は「一方向性関数」であるといえます。
この特性を理解する簡単な例がサーバのパスワードです。
不正侵入をされてしまっても得られる情報は128ビットのハッシュ値のみ。
このハッシュと組み合わせ、情報のやりとりをインターネット上で安全にできるようにしたの技術が公開鍵暗号方式です。

ブロックチェーンを普及させるのに重要な考え方

ブロックチェーンは、「特定の管理者がいない状況、参加者すべてが敵同士であるような状況でも、処理の透明性を確保し、かつデータの変更や改ざんが不可能であるようなデータ蓄積システム」です。

ブロックチェーンは管理者がいなくても動く仕組みですが、運用の方法によっては管理者を立てることも可能です。そして管理者が存在するのであれば、書き換えられないはずのデータを書き換えることも可能になります

ブロックチェーンは社会に浸透するにつれて「初期の理想」とは違う方向に技術が書き換えられていくでしょう。私たちはブロックチェーン技術を理解し、使いこなそうとするときに、最初の印象を引きずり続けないこと、変化に柔軟に対応していくことがとても重要なのです。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です