140字の戦争 SNSが戦場を変えた 著者:デイヴィッド パトリカラコス

140字の戦争

デイヴィッド・パトリカラコス(David Patrikarakos)
中東を専門に取材するジャーナリスト。《デイリー・ビースト》のコントリビューティング・エディター、《ポリティコ》のコントリビューティング・ライター。《ニューヨーク・タイムズ》紙、《フィナンシャル・タイムズ》紙、《ウォール・ストリート・ジャーナル》紙などに寄稿。
2012年の著書Nuclear Iranは《ニューヨーク・タイムズ》紙のエディターズ・チョイスに輝くなど高い評価を得た。ロンドン在住。

今回紹介させていただくのは
著者 デイヴィッドパトリカラコスさんの
140字の戦争 SNSが戦場を変えた となります。

レビュー
世界には、国と国との戦い、民族紛争など
武力戦争が起こっている地域があります。

ですが今、インターネットの世界でも同じことが起きているのです。

情報の発信・SNSである

・Twitter(ツイッター)
・Facebook(フェイスブック)
・Instagram(インスタグラム)

これらは本来、人と人との繋がりを深めるものとして開発されたものだが

しかしながら昨今、つながりを遮断する
または社会を分断するような出来事が起きています。
簡単に情報を得ることができるが故に、それが嘘か本当か分からない状況となっているからです。

アメリカ対テロ戦略的コミュニケーションセンター(CSCC)アルベルト・フェルナンデス氏は
イスラム国とSNSで対立した際、
「自分の手を汚したくないという理由で、その空間を 明け渡してはならないのです」 と今のSNSの状態について注意勧告をしています。

そういった意味で今、SNSによる情報で世界がどのように動いているかを知ることが出来る一冊となっています。

1.市民ジャーナリスト
イスラエルの少年3名がハマスの戦闘員に誘拐・殺害され
このことがきっかけに、お互いが報復する事態に発展。

イスラム原理主義ハマス VS イスラエル

一方、メディアの反応といえば…
「悪いのはハマス」

この事実と異なると憤りを感じていた少女がツイッターというSNSを使い
次々と情報を発信し続けました。

ファラ・ベイカー(当時16歳の少女)
「私が生まれてから3つの戦争を生き延びました。」
「こんなことはもう十分です。」

「家の近くで激しい空爆が続いている。 」
「今夜、わたしはいつ死んでもおかしくない。」

(照明弾の写真を添えて)
「これは家のすぐ近く。」
「涙が止まらない。今夜、私死んじゃうかもしれない。」

ホモ・デジタリス
ファラの投稿に胸を打たれた世界中の人々から、
ファラのもとに励ましの言葉が送られてきました (1万5000回以上)

SNSで大きな影響力を持つジャーナリストのウィル・ブラック
「世界は君の味方だ、ファラ。」
「子どもを大量虐殺するイスラエルをこれほど軽蔑したことはない。」

英国のタブロイド紙「デイリー・ミラー」にも掲載され、
数百万人もの読者がその記事を読みました。

他にも主だったメディアにジャーナリストのように取り上げられました。

ファラの行為は、イスラエルの軍事的目標には変化を与えなかったものの
国際社会の問題として深く考えさせました。

インターネットにより世界とつながり、人々の気持ちを動かし力を得て
問題点に大きく影響させる個人のことを「ホモ・デジタリス」といいます。
ファラこそ、この典型と言えるでしょう。

2.トロール(荒らし)
ロシア人の元編集者 ヴィターリ・ベスパロフ
失業中であった彼が求職で得た仕事は「ウクライナ2」というプロジェクトで
毎日20本の記事を編集しネット上に掲載する仕事でした。

しかしながら、仕事を続けていくうちに
自分は誤った情報をインターネットにあげていることに気づきました。
所謂「トロール(荒らし)」行為です。

ヴィターリは、トロール工場で働いていたのです。

建物の1階は「メディアホールディングズ部門」 として、
ロシアやウクライナにあるウェブサイトの記事があったが、それは見せかけでした。

2階の「ソーシャルメディア部門」 では、
ウクライナ政策を遠回しに批判するような漫画を作成し情報を伝搬させていました。
さらに、ウクライナは悲惨な状態だとウソの記事をウクライナ人のふりをして作成していました。

真実が発覚
2014年7月、マレーシア航空17便がアムステルダムを出発してクアラルンプルへ向かう途中、
ウクライナ東部上空で撃墜されるという事件が起こりました。

死亡者
乗客:283名
乗員:15名

ロシア軍の地対空ミサイルが原因でした。

この時もトロール工場は・・・
「ウクライナの仕業だ」と誤った記事を発信し広めました。

自由主義のヴィターリはウソの情報をすることに我慢できず、
同年の末には退職しました。

退職をしたヴィターリは
メディアに匿名で体験談を投稿しました。

その反響は大きく
ついには、トロール工場の実態が明るみになりました。

ヴィターリはその後
「誰も何も信じなくなった」と・・・。

ソーシャルメディアが軍事兵器と化している状況の1つの事例

3.ネット空間と戦場
インターネットゲームに熱中していた英国人エリオット・ビギンズも、
マレーシア航空17便が 撃墜されたニュースを見て、
徹底的に解明しないと気が済まない性格もあり、
GoogleやTwitterといった情報発信技術を用いて検索を始めました。

①軍用車両の動画を見つけ
それにはミサイルランチャーが積まれていた。

②動画で作成された場所はどこだろうとTwitterで問いかけると
10人中9人の答えが「ウクライナ東部のスニジア」だった。

③ミサイルランチャーが積まれているトレーラーの画像を発見。
これがブーク地対空ミサイルだと突き止めることが出来たが、
撮影場所が分からない。

④このSNSを目にした米国のアリク・トーラーは
ミサイルと一緒に映っていた店の名前がロシア語と気づき
グーグル検索でその店が「ストロイドム」 という金物屋と判明。
撮影場所・時間やその車両が親ロシア派に盗まれたものとまで分かった。

⑤ビギンズらはドネツクからズレツへミサイルが運ばれ、
トレツでの写真スニジネでの動画を探し出し
地対空ミサイルが運ばれたルートを明らかにしました。
Twitterでは、ミサイル発射の地点の写真投稿があり、
チェルボーニ・ゾフティンという村の少し東の野原ということも判明。

ロシアの嘘が露呈する
ウクライナ側(内務省)の主張
公表した映像ではミサイルを発射した後のトレーラーが
ハークシクの街を出ていく様子も確認したと主張

↕主張の食い違い

ロシア側(国防省)の主張
ウクライナの支配下にある
クラスノアルメイスカヤで撮影されたのだと表明

ビギンズ側の主張
ビギンズが明らかにしたブーク地対空ミサイルの移動ルートとは違っており、ロシア側の嘘が明るみになりました。

ロシア版SNSの掲示板でロシア軍兵士の投稿を探し続け
・ロシア軍部隊の撃墜に関与したこと
・第53対空ロケット旅団の隊列とともにウクライナ国境に向かったこと
も突きとめました

ジャッジ
国際共同調査チームは
2016年9月にロシア国内から運ばれたブーク地対空ミサイルが
マレーシア航空17便を撃墜したと結論づけました。
その報告書には、ヒギンズの検証結果も盛り込まれていました。

解釈層を発見
ボストンカレッジのコミュニケーション学部と国際学部で准教授を務めるマット・シンキーウィッツは、
現在の報道構造を3層に分けて分析しています。

第1層
アマチュアの情報生成者

オンライン技術を使って新たな真実を明らかにする

第2層
報道機関

《ニューヨークタイムズ》紙などの既存の報道機関

第3層
解釈層

これは第1層と第2層の中間にあたるのが、この解釈層である。
この中間層を構成するジャーナリストは、
市民が生成した潜在的に重要なニュースのコンテンツを読み解き、
その真偽を 検証するだけでなく、長期にわたってそのニュースを追い、
たとえ主流の報道機関がその話題に一時的に関心を失った場合にも新しい展開を追い続ける。


英国人 エリオット・ビギンズの例

<主観>
世界的なネットワークの充実により、手軽に外国のニュースが手に入るようになったと同時に
事実と虚偽の判別が難しい時代になってきているように感じた。
またネットワークがつながる機械(パソコンやスマートフォン)があれば、突き詰めていけば事実を知ることも出来ることも分かった。

これからは、あらゆる情報に惑わされず、冷静に情報を入手し行動を選択していかなければいけない時代になってきていると感じた。



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